今回解禁された予告編映像は、迫力のアクションシーン、圧倒的な描き込みによる群集シーン、原作のエッセンスを凝縮したストーリー……と、どこを取っても一級品の仕上がり。原作ファンの間で最も人気が高く、最もドラマチックな展開を見せる“黄金時代篇”の映画化ということで越えるべきハードルはあまりにも高い位置にあるように思えたが、今回の予告編は、事前にあった不安要素が一瞬で消えてしまうほどのクオリティーだ。たとえば、戦場におけるスピード感あふれる騎馬シーンは、馬の動きもさることながら、背景の細部一つもおそろかにしておらず、観れば観るほど引き込まれる。
そんな映像美の秘密は、手描きとデジタルを融合させたその手法。アニメ業界では絶対の信頼を誇るSTUDIO4℃が手掛けているということはもちろん、時代考証や美術設定の裏付けをしっかりと行うことで、原作が持つ世界観を忠実に再現することに成功している。マンガはアニメーションの原作ではないものの、この原作あってこその、このアニメーション作品であるといえそうだ。
本作ストーリーの中心となるのは、孤独な剣士ガッツと、圧倒的なカリスマ性を持つ傭兵団「鷹の団」の団長グリフィスが出会い、きずなを深めていく様子。原作を読んだ人ならば出会ったころの二人の姿にどことない切なさを覚え、原作を知らない人ならば友情の行き着く先をハラハラドキドキ見守ることになるはず。まさに「運命の二人」と呼ぶにふさわしい彼らの姿はポスタービジュアルにもしっかりととらえられており、中央に踊る「俺たちの絆は、誰にも斬れない。」という文字が何よりも本作のメッセージを雄弁に語っている。
今年1月の第一報から約10か月。ついに、予告編という形でその一端が明らかになった映画『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』。壮大なサーガにふさわしい華々しい幕開けを本作が担うことになるのは間違いなさそうだ。